うそつきのパラドックス――論理的に考えることへの挑戦

・山岡悦郎著/46判248頁、1800円/ISBN4-87525-205-4

■うそつきのパラドックスは簡単に入りこめて,しかもパズルのように楽しむことができる.だが,このパラドックスの正体は,論理的に正しく考えていくと矛盾に導かれてしまう,というものである.現代では,論理的に思考し,表現するということが,学問の世界だけでなくビジネスの世界その他において重要視されているようである.……論理的思考にたいして根本的な問題提起をするという側面ももっている.
■このパラドックスの挑戦者には条件がなく,だれでも楽しみながら挑戦することができるということである.それには何の準備も予備知識もいらない.そこで出てくるのは,だれでも意味を知っているなじみ深い言葉だけであるからである.
■本書は,ラッセル(1903)からジャクビール(2001)に至る,ここ100年ばかりの間に登場した,そのような数学者や論理学者ならびに哲学者の対処法をできるだけわかりやすく解説したものである.その中には,専門的な香りのするものだけでなく,すばらしいアイデアではあるが,いかにも素人くさいものも多く含まれている.読者も身近な感じをもたれることと思う.