なるほど量子力学I ――行列力学入門
村上雅人著/A5判326頁、本体価格:3000円/ISBN4-87525-229-3
●■量子力学は、ハイゼンベルクやボルンらによって、行列力学というかたちで、その扉が開かれている。この力学は、物理量が行列で表現できるという奇妙なものであるが、その成立過程を知ることは、量子力学を理解する上で非常に重要なステップになる。 ■残念ながら、量子力学を応用するという立場からは、行列力学よりもシュレーディンガーによって提唱された波動力学の方がはるかに便利かつ簡単であるため、行列力学を取り上げる教科書はほとんど無くなってしまった。 ■ただし、行列力学で培われた概念なくして、量子力学を深く理解することは困難である。また、行列を学習することは、初学者にとってもっとも重要な量子力学がいかにして生まれたかを理解するうえで重要となる。 ■本書では、行列力学がどのような概念のもとに形成されていったかを振り返る。 ■量子力学は確かに難解な学問であるが、まったく手に負えない代物では決してない。そのえられた成果の皮相的な面だけではなく、それが建設される過程と背景を知れば、より身近なものとなろう。