パリかくし味

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 パリにもさまざまなかくし味がある。このかくし味は、安易に味わえるものではない。ときには数世紀に及ぶ歴史を経て発見できるものすらある。
 それだけに見ることから学んで捉えがたい実態を、味読することはできないだろうか。それに一歩ふみ出せばフランス人の内面から出る善意(ボンテ)にふれることもできよう。そのすじ道は一様ではなく、各自の体験の純化にかかっている
 私の独自のささやかなパリ体験から語ってみよう。

はじめに…………………………………………………………5
  
一、ベケット『ゴドーを待ちながら』からドゥルーズの終の住処まで……13
二、精神の祖国 ――ドルドーニュ河のほとり………………………………31
三、美術家の終の住処パリ………………………………………………………51
四、椎名其二と森有正 ――パリのユニークな自由人………………………84
五、リルケのパリ…………………………………………………………………119
六、晩年のロマン・ロラン ──光と影………………………………………140
七、パリの駅、メトロ、沿線の街………………………………………………181 
八、フランス人のエスプリ、チーズの味………………………………………199          
九、移民国フランスの仮の住処 …………………………………………………219           
あとがき…………………………………………………………………………227
著者略歴
蜷川 讓
戦前の基隆市に生れる。早稲田大学政経学部、同文学部大学院を経てパリ大学に留学。現代フランス文学、比較文学専攻。日本福祉大学教授、早大講師などを歴任。1951年ロマン・ロラン協会を設立。以来、研究誌140号と公開研究会442回主宰