みちくさ生物哲学 ーフランスからよせる「こころ」のイデア論
大谷 悟著/46判216頁、本体価格:1800円/ISBN978-4-87525-193-4
21世紀は脳の世紀?しかし、脳のなにを知りたいのか。現状のままで知ることができるのか。「人間」を理解するというのなら、哲学・文学・心理学との提携も必要ではないのか。本書はこのような疑問と展望にもとづいて著された。健全な哲学は生物学なのだ。プラトンのイデア論を生物にやどる「こころ」へと結びつける。扁形動物プラナリアにも「こころ」はある。「思考」はヒトだけのものではない。違いはおそらく構造の恣意的連なりの「量」だけなのだ。プラトン、ヴィトゲンシュタイン、渡辺慧、岸田秀…一見ばらばらに立つこれら先人たちを貫くひとつのもの―。在仏「みちくさ」生物学者がいどむ、理系・文系の垣根を取り払うこころみ。
著者略歴
大谷 悟
1961年埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。1983年北海道大学獣医学部卒業。1989年ニュージーランド・オタゴ大学大学院博士課程修了(心理学・神経科学)。同年より、フランス国立衛生医学研究機構(INSERM)第29ユニット(パリ)、バージニア大学神経外科学部、ロッシュ分子生物学研究所(ニュージャージー州)、パリ第11大学理学部で研究。1997年INSERM上級研究官試験合格。現在パリ第6大学(ピエール・エ・マリー・キュリー大学)神経生物学研究所・神経可塑性グループリーダー。本書で2000:第18回渋谷クローデル賞特別賞受賞