ナノの世界が開かれるまで 

五島綾子・中垣正幸/A5判256頁、本体2500円/ISBN4-87525-219-6
●■ナノとは,1mを地球の直径にまで拡大しても,1ナノはやっとビー玉の直径に相当する程度の,気の遠くなる小さな世界である.この最先端技術のナノテクノロジーを支えるナノサイエンスが,どのような経過を経て生まれてきたかを本書は明らかにする. ■そもそも化学は,冶金,醸造,染色,薬品など生活に深く根づいて孵化し,19世紀以後,金属,食品,染料,繊維,製薬などの産業をささえる科学として発展し,それらがナノサイエンスへの道を用意したといえる. ■ナノテクノロジーは複合的,学際的である.その最も重要な点は,生命系技術の影響が色濃い点である.その過程をたどることは,科学・技術・社会(STS)の視点からナノの世界が開かれるまでのプロセスを眺めることでもある. ■化学の世界が,工夫と創意に満ちた確かな目標をもった希望のあふれる分野であることを,後続の挑戦的研究者たちに切々と説き起こした力作.