原子理論の社会史
ナショナリズム・世界大戦・実験物理から理論物理へ・ドイツからアメリカへーー目まぐるしく動く社会と物理学を見つめる。
十九世紀から第二次世界大戦後にいたる理論物理学の歩みを社会史的に取り上げた。その内容は、大学教員の役割の変化と高等教育の拡充、工業発展の影響、第一次大戦と戦後の科学復興、国際交流の深化、文化的資産(あるいは愛国主義的・帝国主義的装置)としての科学の役割、量子力学革命とその応用、ナチス政権成立後の科学者亡命およびドイツ国内での科学者間の抗争、理論物理の中心地の移動、第二次大戦における軍事開発(特にレーダーと原爆)、戦後社会における物理学の役割と研究スタイルの変化等々。
目次
日本語版に寄せて
序
第一章 新しい学問の成立
第二章 ゾンマーフェルト学派の初期
第三章 資産としての原子理論
第四章 「新世界への出発」
第五章 理論物理学の国際的普及
第六章 量子力学の応用
第七章 幸福な三〇年代(ハッピーサーティーズ)? 亡命物理学者たち
第八章 一九三〇年代における理論物理学の中心点の移動
第九章 「第三帝国」下の物理学
第十章 物理学者たちの戦争
第十一章 結 び
原 注
訳 注
文 献
訳者あとがき
索 引